10月, 2016年
乳がんと生きる
毎日新聞生活報道部が 「乳がんを生きる」 という本を2016年10月25日に発行しました。
2008年にステージ4の乳がんと診断された三輪晴美さんも生活報道部のメンバーです。
三輪さんは、本の前書きの中で次のように書いています。
「ひとくちにがんと言っても、部位により、個人により、たどる経過は大きく違います。100人のがん患者がいれば、100通りのがんがある。
がん治療は少しずつ進歩し、より長く普通の暮らしを送る人が増えています。そのためには、適切な医療を受けることが必要。
残念なのは、同じ願いを持つはずの患者と医師の意思疎通がうまくいかない場合があることです。医療の高度化・専門化で、とりわけ大病院の医師は多 忙を極め、一人一人の患者にじっくり向き合う余裕がありません。また、世の中に医療不信の声が高まり、患者もさまざまな情報に翻弄され、医師への 信頼が揺らぐことがあります。
しかし、世界中の多くの医師が、がん撲滅に向けて闘っています。看護師をはじめ医療従事者は、患者の幸せを願って日々奮闘しています。
そして新薬開発の陰には、治験に協力する多くの患者の存在があります。私も、そんな人たちのおかげで今があります。
著名人のがん報道では、常に “克服” という文字が踊ります。とすれば治らないがんを宿した人は、がんに “負けた” ことになるのでしょうか。決してそうではないことを、私たちは多くの患者さんから教えてもらいました」
この本には、治っても治らなくても、できるだけ悔いを残さず、最期まで自分らしく生き切るためにはどうすればいいかのヒントが詰まっています。
配信 Willmake143
スマホ首が自律神経を壊す
2016年10月10日に “スマホ首が自律神経を壊す” というタイトルの詳伝社新書が出版されました。
著者の松井孝嘉先生は、現在、東京脳神経センターの理事長で、アメリカで世界初の全身用CTスキャナーの開発に携わって日本に普及させ、脳卒中死 を激減させたことでも知られています。
約6キロにもなる重い頭を支え、脳と全身の橋渡しの役を担う首が自在に動いてこそ、人は健康でいられます。しかし今、首は長時間、スマホで不自然 な形で下向きに固定され、固まった筋肉が多くの病気を誘発していると書かれています。スマホ首が引き起こす深刻な17の病気は次のとおりです。
日経ヘルス2016年12月号で、自律神経の簡単セルフケアが紹介されています。紹介記事によれば、目と首は自律神経の要所なので、夜の 「目と首のあたため」 が効果的だそうです。
順天堂大学の小林弘幸教授が、夜になっても上がったままの交感神経を目と首をあたためることで、副交感神経優位に切り替えられるからだと解説して いました。
配信 Willmake143
眼・歯・泌尿器は三種の神器
月刊誌 日経おとなのOFF 2016年11月号が、「あと50年をぴんぴん生きよう!笑う100歳に学ぶ心と体 55の習慣」 を特集しています。2016年9月19日の敬老の日に、厚生労働省は100歳以上の人口を6万5692人と発表しました。医療の進歩と健康志向の高まりか ら、みるみる寿命が延びている中で、寝たきりにならず、認知症を患わず、最期まで元気はつらつで暮らせるよう準備を始めるための特集でした。特集 の中に 「眼・歯・泌尿器の三種の神器を守り抜け」 という項目がありました。眼や歯、泌尿器のトラブルは、今すぐ命に関わることではないため、加齢によるものと片付けてしまいがちです。しかし、この眼・ 歯・泌尿器の三種の神器の不調に早めに気づき、ケアすれば健康寿命を延ばせると東京都健康長寿医療センターなどの専門家が解説していました。
配信 Willmake143
腸内細菌と病気の関係
腸内には、おおよそ1000種類、100兆〜1,000兆個の細菌がすんでいるそうです。腸内の細菌は栄養素を作り出したり、免疫にかかわった りしてヒトの健康維持に役立っています。最近、その腸内細菌が病気ともかかわることがわかり、注目されているという記事が2016年10月15日 の朝日新聞に載っていました。体にすみついている細菌は 「常在菌」 と呼ばれ、たまに体内に入って感染症を引き起こす病原菌とは区別されています。常在菌は口、鼻、耳、皮膚などにいますが、最も多いのは腸管内だそうです。 常在菌は “叢(そう)” と呼ばれる集団を作り、病原菌に対するバリアーにもなっていますが、その裏返しとして、腸内細菌の種類や数の変化が病気とかかわることが次第に分かってき たと記事には書いてありました。
患者と健康な人の腸内細菌叢に違いがあることは、糖尿病、炎症性腸疾患、動脈硬化などで示されています。ただ違いがあるだけでは、病気の原因なの か結果なのかわからないとのことです。現在では、健康な人の便を炎症性の腸の病気をはじめ、さまざまな病気の患者に移植する臨床研究も行われてい るそうです。
配信 Willmake143
ノーベル賞と納豆
東京工業大学の大隅良典栄誉教授が、ノーベル医学生理学賞を受賞したことが2016年10月3日に発表されました。細胞自身が不要なたんぱく質 を分解する仕組み「オートファジー」を分子レベルで解明したことが、受賞理由です。細胞の中には、不要となったタンパク質や外部から侵入してきた 細菌がごみ同然のまま転がっているそうです。ゴミがたまったら部屋を掃除するのと同じように、オートファジーは、細胞内を新鮮に保つための作用な のだと大隅先生は解説していました。
パーキンソン病やアルツハイマーなどの脳神経に関係する病気も、神経細胞の中に異常なタンパク質がたまることが原因と考えられているので、オート ファジーは、こうした病気を起こさせないようにしている可能性も考えられるそうです。米国立老化研究所(NIA)は、オートファジーを促すスペル ミジンの摂取をすすめています。2004年に発表された東京都健康安全研究センターの研究によれば、赤ワインで0.16、白みそで14.4、濃い 口醤油で12.1なのに対し、丸大豆使用の納豆で平均56.1、ひきわり納豆では75.2(単位は㎍/g)と、納豆には飛び抜けた量のスペルミジ ンが検出されています。これは、2016年10月13日の日経電子版 NIKKEI STYLEに掲載された 「納豆にオートファジーを促す成分 骨折予防にも」 の記事で紹介されていたものです。
著者は、日経BPヒット総合研究所の西沢邦浩さんです。発酵食品以外に、シイタケなどのキノコ類などにも多いそうです。「骨粗鬆症の予防と治療 ガイドライン2015年版」 には、骨粗鬆症の人で1日250~300 ㎍のビタミンKの摂取が推奨されていますが、通常の納豆の100gには股関節骨折リスク低減が期待されるビタミンK2が600 ㎍も含まれています。また、ビタミンK2は、股関節骨折だけでなく、加齢に伴い増加する男性ならではの前立腺がんのリスク低下も期待されています。これら のことも西沢さんの記事の中で紹介されていました。納豆こそ、スーパーフーズそのものです。
配信 Willmake143
舌の筋トレ 知っていますか?
2016年10月1日の日経新聞に 「舌の筋トレ 知っていますか?」 という記事が載っていました。舌の働きでまず思いつくのは、食べ物の味を感じる味覚ですが、舌は 「食べる」 ときにも重要な働きをしています。かむのは歯の機能だと思われるかもしれませんが、ほおばった食べ物をかみやすいように歯の上に運ぶのは舌の役割だと書い てありました。
厚生労働省などが推進し満80歳で自分の歯を20本以上残そうという8020運動の成果で、高齢者の残存歯数は大幅に増加しています。しかし、日 本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニックの菊谷武先生は 「歯がたくさん残っているのに、食べる機能が落ちてしまう人が少なくない。舌の重要性に注目が集まってきた」 と説明しています。舌は筋肉でできた組織です。筋力は加齢とともに衰えます。足や腰の筋力が落ちると歩行困難になるように舌の筋力が低下すれば、うまく食 べられなくなるというわけです。食べこぼしや、むせることが増えてきたら、舌の筋力低下のサインなので、みらいクリニックの今井一彰先生は 「あいうべ体操」 という運動を考え、普及に努めています。家から出て、人とおしゃべりしたり、会食することも大切だと菊谷先生はアドバイスしています。
50〜60代で、食べこぼしなどが急に目立ち始めた場合は、パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)といった病気のことも考えられるので、 そんな場合は神経内科を受診しようと記事には書かれていました。
配信 Willmake143