7月, 2014年
飛蚊症
目の前を蚊や糸くずのようなものがちらついたり、特に白い壁を見たときに気になるようであれば、「飛蚊(ひぶん)症」を疑ったほうがよいという 記事が2014年7月25日の日経新聞に載っていました。
外から入ってきた光は、透明な膜である角膜、レンズの水晶体、ゼリー状の球である硝子体を通り抜けて、目の奥にある眼底の網膜に達して、脳が物体 を認識します。
このうち飛蚊症に関係する硝子体は、ほとんどが水分で透明だが、何らかの原因で濁りが生じると、その影が網膜に映ってしまい、蚊や糸くずのように 見えてしまうと書かれていました。
これが一般的な飛蚊症で、加齢による生理的タイプと呼ばれています。加齢による生理的タイプの飛蚊症は、検査と診断をするだけで、特に治療はしな いとのことです。
近畿大学の下村嘉一主任教授は「症状に変化があったときに再び眼科を受診するよう患者に伝えている」そうです。
これに対し放置してはいけないのが、「網膜に穴が開く病気によって起こるタイプ」の飛蚊症です。網膜に空いた穴は、なるべく早く塞ぐことが重要で す。
そのままにしておくと、穴から硝子体の成分が網膜の後ろ側に入り込み、穴を起点に網膜がだんだんとはがれてしまう剥離が起こり、剥離が進むと、視 力が低下し視野も狭くなります。
「五感のうち目からの情報が全体の約8割を占めるといわれるほど視覚は重要だ。気になる症状があれば、早めに医療機関を訪れることが肝要だ」と書 かれていました。
配信 Willmake143
4つの「新厄年」
江戸時代から明治の初期まで、日本人の平均寿命は30歳代にとどまっていました。
その後、1900年に44歳、1947年に52歳、1951年に63歳、1971年に73歳と、およそ1世紀の間に驚異的なスピードで平均寿命を 延ばしてきました。
そしてついに2013年の日本人の平均寿命は、女性86.61歳、男性80.21歳で、過去最高を更新しました。
「人生90年」時代に突入しようとしているなかで、いまの自分の年齢ではどのような問題が生じるのか、そこを認識しながら、生活習慣を見直し、未 来を見据えた健康管理を行うのにとても参考になる本が、「63歳で健康な人は、なぜ100歳まで元気なのか」という本です。
2014年7月22日に出版されたこの本の著者は、国立健康・栄養研究所で臨床栄養部長などを務めたことのある板倉弘重さんです。
板倉さんらは、75万人以上という非常に多くのレセプトデータから、糖尿病、脳血管疾患、虚血性心疾患、ガンなどの7つの疾患に関して、抽出した 科学的な分析結果に基づいて「本当に危ない年齢」を弾き出しました。
その結果、現代日本人にとって 「本当に危ない年齢」 = 「新厄年」 が男女それぞれ4つ、明らかになったそうです。
男性の新厄年は24歳、37歳、50歳、63歳。女性の新厄年は25歳、39歳、52歳、63歳です。
本の中で 「新厄年」 を乗り切る8つの習慣が紹介されています。
1.抗酸化食品をバランスよく摂る
2.糖化を防ぐ
3.石灰化を防ぐ
4.骨・関節成分を補う
5.体重を5%減らす/増やす
6.体を酸化から守る軽いエクササイズを行う
7.趣味を楽しむ
8.健康リスクを把握する
の8つです。私たちは、年齢とともに生理的な老化が進行します。そして年齢とともに体質も変化します。体質と生活習慣のミスマッチが病気を呼びこ むので、本書で紹介された8つの厄除け習慣を参考に、年齢に応じたマイナーチェンジを試して下さい。
配信 Willmake143
口から食べられない生活を想像できますか?
2014年7月22日に出版された、長生きは「唾液」で決まる!という本には「口や咽の麻痺のため、自力で食べることができない(摂食機能障害 と呼ばれます)ならば、点滴や経鼻経管栄養で生き永らえればよい、という時代がかつてありました。
しかし、今はもはや、そういう時代ではありません。現代は、いかに生きるかが重要な時代です」と書かれています。
手足のリハビリをするように、口や咽もリハビリをして、もう一回口から食べられるようになってもらうお手伝いをしたい。そういう願いを胸に、摂食 嚥下リハビリテーションに取組んでいる著者は、日本大学歯学部摂食機能療法学講座教授の植田耕一郎さんです。
口や咽がまひしたら、仮に歯が28本きれいに残っていたとしても、食べ物を噛むことは難しくなり、飲み込んだものは誤って気管に入ってしまう。
これは、著者が1990年5月に墨田区にある都心型リハビリテーション専門病院に勤務し始めた頃の歯科界の常識を覆すような、想定外の現実だった そうです。
そこで、リハビリテーション科の医師、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、看護師、薬剤師、管理栄養士さん達と協力しながら、こうした歯科の現 状を変えようと取組んでいった中で、「口」ストレッチが生まれました。
本書で紹介されている「口」ストレッチは、脳卒中の患者さんを対象に、口や咽の機能を回復するリハビリテーションを行う際のトレーニングとして、 25年前から実施し、リハビリ関連の専門書で発表されてきたものです。
ところが最近は、アンチエイジングという観点から「表情筋トレーニング」「美顔の作り方」「老化予防運動」といった扱いもされているとのことで す。
口や咽の機能回復と全身の健康状態は密接に関係していますので、今回、一般向けの書籍としては始めて、公開された「口」ストレッチを参考にしてみ て下さい。
配信 Willmake143
貯 筋
高齢者が健康な生活を送るためには、筋力の維持が大切です。「使えばなくなる お金の貯金 使ってためよう 筋肉貯金」を合言葉に “貯筋” 運動が全国に広まっていることを2014年7月5日の朝日新聞が伝えていました。
老後に備え筋肉を蓄える “貯筋” という言葉は鹿屋体育大学(鹿児島県)の福永哲夫学長の発案です。
高齢者でも無理なくできる貯筋運動や記録する貯筋通帳も考えてきたと書かれていました。
福永学長が、20代から高齢者まで約2千人の様々な筋肉の量を調べたところ、「腕の筋肉は高齢者でもほとんどが落ちていないのに、太ももの前の筋 肉である“大腿四頭筋”や“腹筋”が70代では20代の半分近くまで減っていた」ことがわかったそうです。
そこで、貯筋運動はこの大腿四頭筋と腹筋を主に鍛えることを目的にしています。
力を入れるときに呼吸を止めると血圧が上がってよくないので、自然に呼吸できるよう「線路は続くよどこまでも」の曲に合わせて歌いながら、いすの 座り立ちなど5種類の貯筋運動をやっている東京都文京区の地域活動施設「アカデミー茗台」が記事の中で紹介されていました。
運動するのが難しい人には「一日の歩数を記録し、1ヶ月平均の歩数を毎月10%増やすだけでも効果がある」と筑波大学の山田実准教授(老年学)が 勧めています。
肉、魚、大豆食品などのたんぱく質やビタミンDの多い食事を取るのもいいそうです。
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粗食に注意
「主食」 「主菜」 「副菜」 「牛乳・乳製品」 「果物」 をバランスよく食べている高齢者はわずか13%という実態が、65〜84歳の908人を対象に行った全国農業協同組合中央会(JA全中)の 「高齢者の食事」 調査で浮き彫りになったのは、2011年4月でした。
食べる量が減って、必要な栄養が足りない状態の 「低栄養」 をテーマにした記事が新聞に2つ載りました。一つは、「粗食に注意 しっかり食べて」 と題した2014年7月1日の朝日新聞の記事です。
東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二・研究部長らの調査では、低栄養になっていると、男女とも死亡リスクが、低栄養ではない人と比べて最 大1.6倍程度上がったそうです。
その理由を新開さんは 「血管の壁がもろくなるタイプの脳梗塞や心筋梗塞が増える。筋肉が減って転びやすくなり、認知機能も下がる」 と説明しています。
また名古屋大学の葛谷雅文教授(老年科学)は低栄養がもたらす影響について 「免疫機能が低下し感染症になりやすく、傷はなおりにくくなる。呼吸機能が下がり、疲れやすくなる」と語っています。
葛谷さんによれば、低栄養になる原因には薬の副作用による食欲低下、かむ力やのみ込む力の衰えなどのほかに、太っていないのに「自分は太ってい る」という間違った思い込みがあるそうです。
そこで、もう一つの2014年7月18日の毎日新聞の記事で、高齢者の単身世帯や老夫婦の食卓は炭水化物中心に偏りがちになるので、管理栄養士で 医学博士の本多京子さんが、魚の缶詰を上手に利用する方法を提案していました。
サバ、サンマ、サケの缶詰は、料理へのアレンジがしやすく、抗酸化作用や脳の働きを活発にするEPAやDHAがたっぷり含まれているので、常備し ておくと便利だと語っていました。
配信 Willmake143