1月, 2022年

アルツハイマー病の意外な引き金

2022-01-25

アルツハイマー病の意外な引き金日経サイエンス2022年2月号の特集は「発病を阻止せよ アルツハイマー病 最初に起こる3つの異変」でした。

認知症を引き起こすアルツハイマー病。脳にアミノロイドという異常なタンパク質が蓄積するために神経細胞が死滅することによって起きると考えられ、このタンパク質を除去する治療薬の開発が進んでいます。
でもその期待は外れ、病気の進行を食い止める薬はいまだ存在していません。アルツハイマー病などの認知症は血液脳関門と呼ばれる脳の保護フィルターの機能不全によって引き起こされているのかもしれないということが特集記事で紹介されていました。

◆脳内の血管には「血液脳関門」と呼ばれるフィルターがあるそうです。血液中の酸素や重要な栄養素を脳細胞に到達させる一方、神経細胞を傷つける恐れのある病原体や特定の血中タンパク質をブロックしている関門です。
◆ストレスや加齢によって血液脳関門が損傷して正常に機能しなくなることが研究によって明らかになっています。その結果,血中タンパク質「アルブミン」の脳への侵入が生じ,アルツハイマー病につながっている可能性があるといわれています。
◆アルブミンの侵入によって引き起こされる一連の反応を阻止すると、年老いたマウスの脳は若返リ、健康を取リ戻すことがあるそうです。


アルツハイマー病の意外な引き金

配信 Willmake143

いのちの講義

2022-01-24

いのちの講義婦人画報2022年2月号に、東京大学医学部附属病院放射線科特任教授の中川恵一先生の「いのちの講義」が載っていました。テーマは「がんもコロナもそのリスクをどう捉えるかが試されている」です。


いのちの講義この地球のすべての地域が巻き込まれた、新型コロナウイルス感染症という災禍。
それは、それぞれの国の民族性を映し出すリトマス試験紙なのかもしれません。
「そういう側面は確かにあると思います。そして、今回、日本人がこのようにリスクの軽重を判断できなかったことの根本に、ヘルスリテラシーが非常に低い、という問題があることも指摘したいですね」と語っています。

近年耳にするようになったヘルスリテラシーという言葉。医療やヘルスケアに関する情報を正しく選び取り、自らの健康に生かしていく力を指しています。
「日本は先進国のはずですが、ヘルスリテラシーの国際比較調査では、なんと最下位です。
途上国であるミャンマーにも負けてしまっている。ヘルスリテラシーが低い人ほど健診や予防接種を受けず、体の不調にも気づきにくい。結果的に死亡率が高いことも判明しています。

たとえば、乳がん。自分で胸を触ってしこりがないかを探すセルフチェックの有効性は、多くの女性が認識しています。
ところが実際に行っている人は1割未満。自治体から乳がん検診の案内も届いているはずですが、受診率は4割にとどまっています。
欧米では8割の女性が受診しているのに。がんを早期に発見するためには、2年に1度、必ず健診を受けるべきです。
だからといって高価な人問ドックに入る必要はありません。日本の健診制度は世界に誇れるもので、要は、しっかりとエビデンスのある検査には、国がお金を出しましょうという考え方。
ところが、無料やら1000円やらで受けられる検査なんて、どうせ大したことないだろうと思っている人が非常に多い。事実はまったく逆で、“最新”を謳う検査はエビデンスが十分ではないから、国が補助しないのです。
こんなところにも、日本人のヘルスリテラシーの低さが表れています」と中川先生は述べていて、最後にこう続きます。

「結局コロナウイルスは、よくも悪くも私たちの社会のありのままの姿をむき出しにしました。
そうして見えたものを、どう自覚し、変えるべき部分を変えていくのか。そのことをいまこそ考える時でしょう。
たとえこのウイルスが収まっても、数年後には次の危機、新たな“新型ウイルス”がやって来るかもしれないのですから。
そして僕は、このコロナ禍にもよいことはあったと思っています。それは、デジタル化と都市化が進行して生死の実感が乏しい時代に、日本人が死を思い出したこと。
死を意識することは、決して悪いことではありません。いまこの瞬問にも、私たちの肉体は老化し、死に向かっている。だからこそいまを大切に生きなければいけない。この災禍はそのことを日本人に教えているのだと思います」。

配信 Willmake143

糖質中毒

2022-01-23

糖質中毒2022年1月20日に文春新書として「糖質中毒~痩せられない本当の理由」が出版されました。
著者は、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで糖尿病合併症の原因であるAGEの研究を行なってきた牧田善二先生です。

著者によれば、肥満になる原因はカロリーではなく「糖質」。食べる量を減らしたり激しい運動をしたりするだけでは効果がないのはそのためで、本当に効果的なのは「糖質」とは何かを理解し、適切な摂取をこころがけることだといっています。
でも現代社会は甘い清涼飲料水やスナック菓子などそこら中に糖質が溢れており、気をつけないと糖質を摂りすぎてしまいます。

新書のはじめには次のように書いてありました。
「糖質とは、砂糖など甘いものだけを指すのではありません。肥満者をつくり上げている糖質の大半は、ご飯、パン、麺類などの炭水化物です。
実際に、肥満者のほとんどはご飯や麺類が大好きです。とはいえ、彼らがそれを太るまで食べてしまうのは、単に食い意地が張っているからではなく、食べずにいられない脳になっているからです。
健康診断では、「メタボ」には厳しい目が向けられます。日本人男性は30代から太り始め、中高年になると多くがメタボの指摘を受けますから、もしかしたらあなたも医者から「体重を落としてください」と指導を受けている一人かも知れません。
でも、いくら言われても簡単には減らせず、それどころか年々増えていっているのではないでしょうか。
どうして、痩せることはそれほど難しいのでしょう。あなたの意志が弱いから?

 違います。あなたが痩せられないとしたら、それは糖質中毒だからです。中毒を治さない限り、本質的な肥満解消など無理なのです。
私は40年間にわたり、糖尿病専門医として医療の現場に立ち続け、のべ20万人以上の患者さんを診てきました。
そして誰よりも糖質に詳しい医師となりました。そんな私が、最初に明言しておきます。
糖質は、あなたが考えているよりも遥かに恐るべき物質です。糖尿病に縁のない健康な人でも、簡単に糖質中毒になります。そして、それによって太ることはもちろん、知らぬ間に健康を著しく害します」。


糖質中毒

配信 Willmake143

老化の大敵「ゴースト血管」

2022-01-19

老化の大敵「ゴースト血管」「見た目年齢が高い群は、見た目年齢が低い群と比較して、女性で平均5歳、男性で8歳、血管年齢が高かった」。朝日新聞系週刊誌・AERAの2022年1月17日号に載っていた記事の一文です。


老化の大敵「ゴースト血管」大阪大学微生物病研究所環境応答研究部門情報伝達分野の高倉伸幸教授は、大手化粧品会社と皮膚と毛細血管の関連について共同研究を行い、マイクロスコープで接写した肌の状態と、毛細血管の状態はほぼ比例するという実例を多く見てきたそうです。


老化の大敵「ゴースト血管」高倉教授は、血管を人体の中の道路に例えています。動脈や静脈が幹線道路なら、毛細血管は県道や市町村道。幹線道路が立派でも家の前の道路がふさがれていれば、社会と隔絶します。
道路が不通でゴミ回収車が来なければ、快適に暮らせません。近隣の道路が機能せず住む人がいなくなれば、ゴーストタウンになります。

「血液の流れが悪く壊れやすくなった毛細血管が、老いや不調、病気を引き起こしている。
毛細血管が本来の役割を果たせずゴーストタウンになってしまう、ということから、ダメージを受けた毛細血管をゴースト血管と名づけました」と高倉教授は述べています。

毛細血管がゴースト化し、その役割が果たされなくなれば、見た目が老け、不調が生じるなど、病気のリスクも高くなります。
最新の研究では、アルツハイマー型認知症との関係も指摘されています。ゴースト血管化の原因の一つは加齢です。
加速させる因子には、高血糖があります。体内で過剰な糖質とたんぱく質が結びつく「糖化」が起こり、体内に焦げのような物質「AGE」が発生すると、毛細血管がAGEを取り込み、細胞の老化を促進する活性酸素が大量に発生するのです。

ゴースト血管は、年を取れば誰でもリスクがあります。でも、予防や改善は可能です。
「血流を良くすることは、ゴースト血管の予防・改善に欠かせない条件です。一番のお勧めは、ウォーキングやスクワットのような下肢の筋肉を鍛える運動です。ふくらはぎの筋肉を刺激するかかと上げの習慣化もいい」と記事には書いてありました。

配信 Willmake143

ドライマウスの対策

2022-01-17

ドライマウスの対策2022年1月15日付の日経新聞に、口の中が慢性的に乾燥し、様々なトラブルを招くドライマウス(口腔乾燥症)についての記事が載っていました。
ドライマウスは主に唾液の減少により起こります。人間が分泌する唾液は通常1日に1.5ℓ程度。抗菌や消化、粘膜の修復、酸の中和などの作用があるため、分泌量が減ると様々な悪影響が出るそうです。


ドライマウスの対策大阪大学大学院歯学研究科の阪井丘芳教授は「唾液の抗菌作用が低下すると、虫歯や歯周病になりやすい。口からの細菌感染で風邪を引きやすく、気管支炎や肺炎になることもある」と警告しています。

唾液の量は年齢を重ねると減っていきます。口の周辺の筋力低下は原因のひとつです。唾液腺は筋肉の動きによって唾液を分泌しますが、加齢で働きが悪くなります。
特に中高年女性は発症しやすいそうです。口周りの筋力低下には「日ごろからよくかんで食べ、舌回し運動などで鍛えれば、年齢を重ねても唾液が出やすくなる」と阪井教授は語っています。


ドライマウスの対策唾液が減る原因は他にもあります。例えぱストレスです。唾液腺は内臓の動きや代謝などをつかさどる自律神経によって調整されています。
リラックスしているときは副交感神経が優位になって唾液の量が増えます。一方で緊張した状態が続けば交感神経が優位になって分泌量が減ってしまうのです。

ストレスによるドライマウスは比較的若い人にもよくみられます。
東北大学の笹野高嗣名誉教授は「新型コロナウイルス禍もあって症状を訴える人が増えたように感じる。環境激変によるストレス、鼻をふさぐマスク着用による口呼吸といった理由が考えられる」と指摘しています。

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