免疫老化とは

2022-12-01

免疫老化とは年をとるとともに感染症にかかって重症化しやすくなります。ワクチンの効果も下がりがちです。その一方で、過剰な免疫の働きともいえる自己免疫病は増えるのはなぜか。
がんや糖尿病などにもかかわる「免疫老化」の研究が進みつつあると2022年11月25日付の朝日新聞が伝えています。

京都大の浜崎洋子教授らは、65歳以上の高齢者と65歳未満の成人それぞれ約100人の協力を得て、新型コロナウイルスワクチン接種で起こる免疫反応を調ベています。
接種後の免疫細胞を調べると高齢者グループで、免疫反応にブレーキをかける分子が多い傾向があったそうです。「免疫反応が強すぎると発熱など、体に負担がかかるので、高齢者の免疫反応は『適応』といえるかもしれません。
ただ、高齢者とひとくくりにはできず、個人差が非常に大きいこともわかった」と浜崎教授は述べています。
免疫には、侵入した病原体をいち早く排除する「自然免疫」と敵に応じて戦い、記憶もする「獲得免疫」があります。
偽の病原体で獲得免疫を働かせるのがワクチンです。獲得免疫の応答の低下、炎症が起こりやすくなる、自己免疫病のリスクが上がる、といった変化は免疫老化の特徴だそうです。

免疫の老化の一因は「胸腺」にあります。免疫の司令塔といわれるT細胞を「教育」する器官ですが、その働きは、思春期以降に落ち始めます。40歳代になると、新たに教育されるT細胞は、新生児期の100分の1になるといいます。


免疫老化とは新たなT細胞は増えないので、「古顔」が頑張るしかない。しかし中には「老害」を引き起こすものも出てくるのだそうです。

がん細胞を攻撃する免疫細胞は「キラーT細胞」と呼ばれます。加齢に伴い、免疫の監視機能が低下し、がんになりやすくなるといわれますが、何が起こるのでしょうか。

がん細胞は、キラーT細胞の働きにブレーキをかけて、攻撃から逃れようとします。このブレーキを解除して、免疫の働きを強めてがんを攻撃させるのが、免疫チェックポイント阻害剤です。その開発につながる研究で、本庶先生は2018年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。

ブレーキを解除しても、キラーT細胞の働きが落ちていると、免疫チェックポイント阻害剤の効果が期待しにくいそうです。
実際、高齢者は、若い人に比べて免疫チェックポイント阻害剤が効かないことが多いそうです。
本庶先生たちは、高齢マウスにスペルミジンを与えると、キラーT細胞の働きが上がり、免疫チェックポイント阻害剤の効果も高まることを突き止めました。
スペルミジンの補充で、加齢による免疫異常の予防や改善につなげられないか、研究を進めているということです。

配信 Willmake143

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