治療薬の副作用で顎骨壊死

2019-11-15

治療薬の副作用で顎骨壊死
治療薬の副作用で顎骨壊死骨粗しょう症治療で広く使われているビスホスホネート系(BP)製剤に、副作用としてあごの骨が死ぬ顎骨壊死(がっこつえし)という合併症のリスクがあることはあまり知られていません。
2019年11月13日の毎日新聞が、歯科治療にも影響するこの薬との付き合い方を紹介していました。


治療薬の副作用で顎骨壊死BP製剤による顎骨壊死は2003年に米国で報告された病気です。
あごの骨が歯茎から露出したり、下唇がしびれたり、進行するとうみがたまって皮膚に穴があいたりします。骨粗しょう症のほか、がん患者でも生じ、治りにくいのが特徴です。
日本口腔外科学会の全国調査では、国内の顎骨壊死数は06〜08年の263例から、11〜13年の4797例へと急増しています。BP製剤だけでなく、デノスマブという治療薬でも顎骨壊死が起きます。
原因や発生のメカニズムは解明されていませんが、抜歯をきっかけに感染して発症することが多いそうです。
骨粗しょう症の治療には必要な薬なので、服用中にどう副作用を抑えるかが重要だということです。

ポイントは感染予防。「骨粗しょう症の治療前に歯科で点検を受け、掃除や抜歯を済ませて口の中をきれいにすることが必須だ。持病がある人や高齢者には欠かせない」と千葉大学の丹沢秀樹教授(口腔科学)は語っています。
投与が決まったら、歯科で定期的に口腔ケアを受けて清潔を保ってください。

一方、どんな時に休薬すべきかは現在、専門家の間でも議論がまとまっていないとして、次のようなケースを記事では紹介していました。
東京都板橋区の主婦、矢作滋子さん(69)は2015年、整形外科でBP製剤の注射を開始。薬の説明は特になく、食事や運動の指導もなかった。しばらくして手のひら大の三つ折りのカードをもらった。


治療薬の副作用で顎骨壊死歯科受診の際に提示するカードで、患者が服用するBP製剤の商品名を伝え、「顎骨壊死があらわれることがあるので、抜歯はできるかぎり避けてください」と依頼する文面だった。
2017年に物がかめなくなり、かかりつけ歯科医を受診。歯の根が割れて抜歯が必要だったが、「BP製剤の注射を2年間している」と伝えると、休薬が必要と言われ抜いてもらえなかった。
その後、整形外科に休薬を申し出たが認めてもらえず、通院を停止。結局、抜歯したのは昨年4月、東京都立の病院で。
歯が痛くて物がかみづらい状態が1年以上続き、5本抜いた。顎骨壊死こそ免れたが、矢作さんは「骨密度は正常より少し低い程度のため、BP製剤の注射までしなくてもよかったのでは。整形外科でBP製剤を出す時には『歯の治療ができない時がある』と説明すべきだ。高齢者の多くは知らないはず」と訴えています。

配信 Willmake143

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